離婚の際には子どものことや金銭面で取り決めをすべきことがあります。
何を決めるべきかわからない、直接交渉するのは難しい、自分で話をしてみたけれどもうまく進まないといったときには、一度ご相談ください。
※弁護士費用のご負担が難しい場合、一定の基準を満たせば、ご相談・ご依頼の際、日本司法支援センター(法テラス)の法律援助制度をご利用いただけます。
「一定の基準」は、手取り月収で、単身者182,000円、2人家族251,000円、3人家族272,000円以下が目安です。家賃負担等による加算や、居住地による加算もありますので、法テラス利用ご希望の方は、相談のご予約の際にご確認ください。
離婚の方法
協議離婚
夫婦で話し合いにより離婚の合意ができる場合には、離婚届に必要事項を記載し、役所に提出することにより離婚することができます。
金銭給付の約束をする場合は、公正証書にしておくと、後に支払ってもらえなかったときの取り立てがしやすくなります。
調停離婚
当事者だけの話し合いでは合意ができない場合、家庭裁判所の調停により話し合いをします。
男女2人の調停委員が間に入り、話し合いを進めますので、直接相手と話をする必要はありません。
裁判離婚
調停によっても合意ができない場合、裁判で離婚の請求をします。
判決により離婚が認められるためには、法律上の離婚原因が必要です。
法律上の離婚原因(民法770条)
1号 配偶者に不貞な行為があったとき
2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき
3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5号 その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
離婚と子どもの問題
親権者
未成年の子がいる場合には、離婚の際、親権者を決定しなければなりません。
協議離婚や調停離婚の場合は、当事者の話し合いにより決めます。
裁判で離婚する場合には、裁判官が父母の一方を親権者と定めます。親権者指定の基準は子の福祉です。具体的には、親や子の意思、従前の監護状況や今後の監護体制などを総合的に考慮して決定されます。
一旦親権者を定めた後でも、子の利益のために必要があるときは、家庭裁判所に変更の申立をすることができます。
子との面会
子を監護養育していない親は、子と会ったり、連絡をとったりする権利があります。
父母の協議で面会方法について合意ができない場合には、調停や審判の申立ができます。
面会等が子の福祉を害すると判断される場合には、面会が制限されることもあります。
養育費
離婚後も親は子に自分と同程度の生活を保障する義務があります。この義務履行のため、子を養育監護していない親から、実際に子の養育監護をしている親に対して支払われるのが養育費です。
父母の話し合いで金額が決められない場合には、調停や審判を申し立てることができます。
基準として現在は、簡易算定表が用いられています。簡易算定表は、判例タイムズ1111号や東京家庭裁判所のホームページ等で見ることができます(東京家庭裁判所→裁判手続を利用する方へ→手続案内)。
子の状況や、親の収入が変化した場合は、増減額の申し出をすることができます。
離婚とお金の問題
財産分与
婚姻期間中に築いた財産の清算ですが、補充的に離婚後の扶養や慰謝料的要素も考慮されることがあります。
婚姻中に築いた財産は、どちらの名義になっていても、原則2分の1ずつ分けます。
結婚前から持っていた財産や相続で得た財産は、原則、財産分与の対象とはなりません。将来の退職金、企業年金等も分与の対象になります。
話し合いで決められない場合は、審判で裁判官に決めてもらうこともできますが、審判の申立は、離婚後2年以内にする必要があります。
慰謝料
夫婦のどちらかに不貞や暴力といった有責な行為のある場合に請求することができます。
性格の不一致、価値観の相違による離婚の場合は、慰謝料の請求は認められません。
年金分割
合意または裁判所の決定により、婚姻期間中の保険料納付記録を配偶者に分割することができます。
平成20年4月1日以降に第3号被保険者だった方は、平成20年4月以降の期間部分については、一方からの請求により相手方の標準報酬の50%の分割を受けることができます。
原則として、離婚後2年以内に請求する必要があります。
約束したお金を払ってもらえないとき
家庭裁判所の調停や審判、裁判で取り決めた養育費や財産分与・慰謝料を相手が支払わない場合には、履行勧告(裁判所に申し立てて、裁判所から相手に支払うよう勧告してもらう方法)や、強制執行(相手の不動産や預金、給与などを差し押さえてそこから取り立てる方法)ができます。
協議離婚でも、強制執行を認める内容の公正証書を作成していた場合は、強制執行はすることができますが、履行勧告は使えません。
離婚までの間の問題
婚姻費用
同居しているけれど相手が生活費をくれない、別居してから生活費を受け取っていないといったときには、離婚が成立するまでの間、婚姻費用を請求することができます。
当事者の協議で決めることができなければ、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。
基準としては、簡易算定表が用いられます。簡易算定表は、判例タイムズ1111号などでみることができます。